【羊と鋼の森】宮下奈都 著 を読んで
素晴らしい作品に出会うと、比喩ではなく心が震える。
その証か、私は電車の中では涙をこぼしてしまった。
通勤中、本に没頭してしまい、つい下車するのを忘れた。ある一文に心を持っていかれてそこから考え事をはじめてしまって、現実から離れてしまったのだ。
電車の中では泣いてしまうなんて、いま振り返ると恥ずかしいけれど、その時は他人にどう思われているかなんて考える余地もないほど、感動していた。
その一文には、主人公が自分の在り方に迷っている時に先輩から聞いた話し、が書かれている。
それが後に主人公を導く灯火になっていくのだが、私もその主人公同様、その一文と出会えたことにとても深い意味を感じた。
いま、この文章に出会えたことが偶然とは思えなかった。
その文を、私はノートに記した。
いつでも見返すことができるように。自分自身の脳裏にも刻めるように。
本屋大賞を受賞したこの本を、これから手にする方もいらっしゃると思うので、私の心を震わせたその一文をここで紹介することは避けるが、私が作品を描く時も私が体験したような心の震えを感じてもらえたらいいなぁと思った。
物語を書く者としてどうあるべきか、その姿勢を学んだ気がする。
静かで詩的で、情熱に溢れた、素晴らしい作品でした。
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